ネットワークの基礎講座

PPP(ポイント対ポイント プロトコル)

PPPのカプセル化


 

 

 


PPPのカプセル化は、プロトコルの混ざったデータグラムを区別するのに使われる。カプセル化においては、カプセルの始まりと終わりを示すフレーミングが必要である。フレーミングのための方法は対応するドキュメントに規定されている。フレーミングの一例(HDLCタイプ)を下図に示す。

 


 


カプセル化は上図のプロトコルとデータの部分にて行われる。

 

もう一つPPPoE(RFC 2516)のフレーミングの場合を示すと、下図のようになっている。

 

                     1                   2                   3

 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

|  VER  | TYPE  |      CODE     |          SESSION_ID           |

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

|            LENGTH             |           payload(プロトコルとデータ)~

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 

カプセル化は上図のペイロード部分にHDLCタイプのプロトコルとデータのフィールドが入ることになる。

 

データ部分は、情報部分とパッディング部分とからなる。したがってここでは、プロトコルのフィールドと情報のフィールドに関してまず説明する。

 

プロトコル

Protocol

8/16 bits

情報

Information

パッディング

Padding

 

プロトコル・フィールドは、1ないし2オクテット長である。この値はパケットの情報フィールドにカプセル化されたデータグラムを識別する。総てのプロトコル値は奇数、即ち最後のオクテットのLSB”1”でなければならない。また、2オクテット長の場合は、最初のオクテットのLSB”0”でなければならない。この規則に従わないフレームを受信したときは、認識できないプロトコル(unrecognized Protocol)として処理しなければならない。”0***”から”3***”までの値はネットワーク層のプロトコルの識別であり、”8***”から”b***”までの値は、もしあれば、それに関連するネットワーク制御プロトコル(NCPs)である。”c***”から”f***”の範囲はリンク制御プロトコル(LCPs)である。

 

以下に現在の割り当て状況を示す。これらの値は、RFC 1340 “Assigned Numbers”に記されているので、その都度確認することが好ましい。

 

Value (in hex)

Protocol Name

0001

Padding Protocol

0003 to 001f

Reserved (transparency inefficient)

 

 

0021

Internet Protocol

0023

OSI Network Layer

0025

Xerox NS IDP

0027

DECnet Phase IV

0029

Appletalk

002b

Novell IPX

002d

Van Jacobson Compressed TCP/IP

002f

Van Jacobson Uncompressed TCP/IP

0031

Bridging PDU

0033

Stream Protocol (ST-II)

0035

Banyan Vines

0037

Reserved (until 1993)

007d

Reserved (Control Escape)

00cf

Reserved (PPP NLPID)

00ff

Reserved (compression inefficient)

 

 

0201

802.1d Hello Packets

0231

Luxcom

0233

Sigma Network Systems

 

 

8021

Internet Protocol Control Protocol

8023

OSI Network Layer Control Protocol

8025

Xerox NS IDP Control Protocol

8027

DECnet Phase IV Control Protocol

8029

Appletalk Control Protocol

802b

Novell IPX Control Protocol

802d

Reserved

802f

Reserved

8031

Bridging NCP

8033

Stream Protocol Control Protocol

8035

Banyan Vines Control Protocol

8037

Reserved till 1993

80ff

Reserved (compression inefficient)

 

 

c021

Link Control Protocol

c023

Password Authentication Protocol

c025

Link Quality Report

c223

Challenge Handshake Authentication Protocol

 

 

 

情報フィールドは、ゼロまたはそれ以上のオクテット長である。情報のフィールドはプロトコル・フィールドで規定されたプロトコルのデータグラムが入る。この情報フィールドの最大長は、(パッディングを含め、プロトコル・フィールドを含めない)最大受信ユニット(MRU: Maximum Receive Unit)と呼び、デフォルト値は1,500オクテットである。ネゴシエーションにより、同意がなされれば、MRUとしてこの値以外の値を採用してもかまわない。

 

伝送に際しては、この情報フィールドにはMRU内であれば任意のオクテット数のパッディングを含めても構わない。パッディングオクテットと真の情報との識別を行うのは、各プロトコルの責任である。

 

 

 

 

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