ネットワークの基礎講座

PPP(ポイント対ポイント プロトコル)

PPPの概要


 

 

 


PPPは、以下の3要素からなる。

1. マルチプロトコルのデータグラムのカプセル化

2. データリンク接続の確立、設定、検査といったリンク制御(LCP: Link Control Protocol)

3. 複種ネットワーク層プロトコルの接続の確立や設定といったネットワーク制御(NCPs: Network Control Protocols 例えばIPではIPCP)

 

カプセル化は、同じリンク上で、異なったネットワーク層プロトコルを多重化して伝送出来るようにするものである。このカプセル化を決めるにあたっては、一番一般的に使われているハードウエアとの両立性が配慮された。デフォルトであるHDLC類似のフレーミング(RFC 1662)を使った場合には、カプセル化の為に必要な情報はたったの8オクテットである。帯域が貴重であるような環境では、カプセル化とフレーミングに必要なオクテット数を2または4に圧縮することも可能である。高速のリンクに使われる場合は、このデフォルトのカプセル化では、単純化されたフィールドだけが使われ、そのフィールドの一つだけで多重を戻すことができる。このデフォルトのヘッダと情報のフィールドは32ビットのバウンダリを持ち、トレイラはこのバウンダリになるようパッディングされる。

 

リンク制御プロトコル(LCP)は、多様な環境に充分対応できるようするものである。LCPは、カプセル化のためのフォーマットのオプションの自動的な選択、パケット・サイズの上限の変動への対応、折り返しリンクの検出やその他の一般的な設定誤りの検出、リンクの開放などを行う。その他のオプショナルな機能としては、該リンクのピアの識別の認証、リンクが正常に機能しているあるいはそうでない時間の監視などがある。

 

ネットワーク制御プロトコル(NCP)は、ポイント対ポイントのリンクが、現在のネットワーク・プロトコルのファミリで生じる多くの問題を悪化させないようにするものである。問題の例として例えば、LANの環境でも問題であるIPアドレスの割当と管理の問題は、回線交換型のポイント対ポイント・リンク(例えばダイヤルアップ・モデム・サーバ)上では特に困難である。かかる問題は複数のNCPで処理され、各NCPは対応するネットワーク層プロトコルの固有のニーズを処理する。したがってこれらのNCPsは個別のドキュメントで定義される。

RFC 1661は、PPPリンクが容易に設定できることを意図している。設計によっては、標準として用意されているデフォルトで総ての通常の設定がまかなえる。設計者は、このデフォルトの設定を改良のため手を加えることが出来、その変更点はオペレータの介在なしで自動的に相手側に送られる。それ以外には出来ないような環境にあっては、最後の手段としてオペレータが該リンクを機能させるために明示的に設定することも可能である。自動的な設定は、詳細なオプションのネゴシエーションの機構により達成されている。このネゴシエーションの段階でリンクの各端は、自分の持っている機能や要求事項を相手に通知する。このドキュメントに記されているオプション・ネゴシエーションのメカニズムはLCPとして規定されているが、同じ機能は他の制御プロトコル、特にNCPのファミリにも採用されている。

 

次図に典型的なPPPのシーケンスを示す。個々の詳細はのちほど記述されているので、PPPの機能・役割をざっと理解していただければ良い。最初にLCPでリンクの接続を行い、必要ならログオンなどの認証を行う。リンクが張られたら次に上位層であるNCP(この図はIPベースなのでIPCP)での接続を行い、しかる後ネットワーク層データグラムの交換がなされる。終了にあたってはネットワーク層での終了手続きを必ずしも経由することなく、LCPで終了手続きがなされている。

 


 

 

 

 


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