ネットワークの基礎講座

イーサネット

ネットワーク・トポロジー


 

 

 


イーサネットの初期の時代は、前にも書いたように1本の太い同軸に多くの端末がぶら下がるバスライン形式であった。


 

 


このような構成は、端末やワークステーションが貴重で分散していた時代は良かったが、ひとつの部屋に数10台のコンピュータが存在する時代になると、工事が大変だし、システムの信頼性にも問題が出てくる。

 

10Base5ケーブルに端末を接続するときは、太い同軸ケーブルの芯線に針を突き当てるやり方がとられた。しかしながら振動や移動が多い端末の場合は、これが接続の信頼性を損ねた。加えて、1台の故障がネットワーク上の総てのデバイスに影響を与えてしまう危険性もある。

そのような理由から、現在はスター型に構成するのが一般的である。

 


 


ここでネットワークの構成要素について簡単に説明することにする。

 

-           レピータ(Repeater): ルーティングやパケット・フィルタリングなどいわゆるデータ・リンク層やネットワーク層の機能を有さないで、単純に物理層内で2つのケーブルをつなぐ物である。したがって衝突などの事象も通過する。物理層のデバイスで、専門的に云えば衝突ドメイン(Collision Domain)内のデバイスとなる。

 

-           ハブ(Hub): ハブはまた集線装置(Concentrator)ともいい、スター型にネットワークを展開するものである。ハブのなかには、配下のデバイスの障害を自動的に検出し、これを切り離す機能を持ついわゆるインテリジェントなものもある。高度なハブは速度が10MHz100MHzを判断し自動的に選択するものもある。ハブは本来物理層のデバイスである。しかしスイッチング・ハブと称するものは、宛先アドレスを見てこれをどこに転送するかの機能を持ち、データ・リンク層とネットワーク層の一部の機能を持つ高度なデバイスである。通常のハブ(ばかハブとかレピータ・ハブとかいうことがある)のパネルを見ていただきたい。衝突(通常”Col”などと印刷されている)表示ランプがひとつだけである。つまり物理層のデバイスだから衝突はその配下のデバイスに伝播され、このデバイスは衝突ドメインに含まれるのである。衝突ドメインを切り分けるデバイスは、ブリッジ、スイッチング・ハブ、ルータなど上位層のデバイスである。

 

-           スイッチング・ハブ(Switching Hub)あるいはレイヤ2スイッチ(Layer 2 Switch)とも云う: スイッチング・ハブはイーサネット・パケットを受信し、その宛先を見て該当するポートに送出するので、衝突は伝播しない。このデバイスには衝突表示のランプは存在しない。従ってポート毎のトラフィック量が少なくなりまた衝突も少なくなるのでスループットの低下の問題が少なくなる。

 

-           ブリッジ(Bridge): 2つ以上の物理的なネットワークを接続するもの。ブリッジは通常パケットのフィルタリングを行い、正しいパケットのみを伝送する。このデバイスはデータ・リンク層のデバイスであり、ネットワーク層の機能は有さない。

 

-           ルータ(Router): 外国人と話すときは「ラウタ」と発音してください。ルータは、ネットワークあるいはインターネットの、どのパスにトラフィックを流すかを決定する機能を有するネットワーク層のデバイスである。ルータはその為の情報をルーティング・プロトコルにより取得する。詳細はIPのチュートリアルで説明する。

 

-           ゲートウエイ(Gateway): トランスポートより上の層の機能を持ってネットワークをつなぐ装置をいう。たとえば公衆電話回線のファクシミリのトラフィックをインターネットのメール形式に変換してインターネットに流したりする機能である。

 

 

 

 

前節     目次     次節