ネットワークの基礎講座

イーサネット

イーサネットの物理層


 

 

 


次に物理層について簡単に説明する。

 

物理層のなかで一番皆さんが目にするのはイーサネット・ケーブルであろう。またその使い方も良く理解しておくべきであろう。ケーブルには10Base5, 10BaseT, 10Base2, 10Broad36などという名前が付けられている。一番お馴染なのは100BaseTX(カテゴリ5)と呼ばれるツイスト・ペア・ケーブルであろう。このケーブルはまた「ファスト・イーサネット」(Fast Ethernet)とも呼ばれる。”10”は信号速度10MHzを意味し、”Base”はベースバンド、Broadはブロードバンドを意味する。そして最後の部分がレピータ(中継器)を介さないで使える最大長を100m単位で示している。10BaseTの場合はこの規則に追加してツイスト・ペア・ケーブル、Fxxは更に文字が追加される場合がある)やは光ファイバ・ケーブルを意味する。

 

実際には各ケーブルは以下のようになっている:

10Base2:    50オームのベースバンドの細い同軸ケーブルで10MHzで動作する。このケーブルは良くシン(細い)ケーブルとかチーパ(安い)ケーブルとか呼ばれた。最大185mまで伸ばせる。

10Base5:    50オームのベースバンドの標準の(太い)同軸ケーブルで、10MHzで動作する。最大500mまで伸ばせる。

10BaseFL:  光ファイバ・ケーブルで10MHzで動作するケーブル。通常2km程度まで使える。

10BaseT:    シールドなしのツイスト・ペア線(UTP: Unshielded Twisted Pair)による10MHzで動作するケーブル。通常100m~150mまで伸ばせるが、そのような用途はあまり無いであろう。

100BaseTX:         10BaseTと同じくシールドなしのツイスト・ペアケーブルだが100MHzまで使用可能.カテゴリ5という名前は、ケーブルの伝送特性(何処までの周波数に使えるか)を示し、カテゴリ310MHz、カテゴリ416MHzのトークンリング、カテゴリ5100MHz用である。通常100mまで伸ばせる。コリジョン・ドメイン長は最大500mである。

10Broad36:         ブロードバンド・ケーブルで、10MHzで動作。3.6kmが最大長。

 

100BaseTXケーブルを良く見ると8本(4対)が使われているが、実際は送信と受信の2対(ピン1,2,3,6)だけに信号がながれる。PC側ではピン1,2EIA/TIA標準の568Aではペア3)が送信データ、ピン3,6568Aではペア2)が受信データで、偶数番号ピン(単色の線)がマイナス端子である。

 

 

ピン番号

TIA/EIA-568-A

TIA/EIA-568-B

1

白/緑

白/橙

 

2

 

3

白/橙

白/緑

 

4

 

5

白/青

白/青

 

6

 

7

白/茶

白/茶

 

8

 

 


 

 

 


良く使われる配線のRJ-45コネクタ接続は通常この2つのどれかになっている。オレンジの縦パタンで表示してあるのは白にオレンジが印刷されているという意味である。ケーブルには方向性がない(ストレート)のでどちら側をPCにあるいはハブにつなぐかは自由である。

 

PC同士をひとつのイーサネット・ケーブルで接続する場合は、「クロスオーバ・ケーブル」(通常「クロス」と呼ばれているが、これは”cross”の略と間違われる危険性がある)が必要になる。このケーブルは、ピン1,2のペアとピン3,6のペアが両端で交差する(つまり片方のピン1,2が他方のコネクタのピン3,6に、片方のピン3,6が他方のコネクタのピン1,2に対応する)。このケーブルは特殊で、一般に入手しづらいので、自分で組み立てなければならない場合がある。

 

100BaseTXファスト・イーサネット・ケーブルでLANを構成する場合に良く遭遇する問題に、ルータ、スイッチやインテリジェント・ハブとPC端末間に最大幾つまでの非インテリジェント・ハブ(所謂バカハブ)が入っても良いのかということであろう。スタッカブル・ハブは多くの端末に展開できるように、ハブを従属接続することができる。答えは2である。また、従来10BaseTで構成されていたLAN100BaseTXに拡張しようとする場合には、単にケーブルを置き換えただけでは問題が生ずる場合がある。つまりケーブル長に注意が必要で、マニュアルを良く見る必要がある。LAN機器のメーカによってはその接続の誤り率を監視して、転送速度を10Mに落とすようなものも存在する。

 

 

 

 

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