ネットワークの基礎講座

IP(インターネット・プロトコル)

アーキテクチャ・モデル


 

 

 


TCP/IPの最初の設計目標は複数のネットワークをつないでユニバーサルな通信サービス(即ちインターネットワーク、あるいはインターネット)が提供できることだった。イーサネット(LAN)ATM(通信網)、トークンリング(IBM)などの各物理層は、そのテクノロジ毎にそれに依存したプログラミング・インターフェイスを持ち、所謂通信プリミティブ(複数)として基本通信機能が提供されている。通信サービスは、この物理ネットワークとユーザのアプリケーションの間に介在するソフトウエアで、各種アプリケーションに対して共通のインターフェイスを提供することで、その下で動作している物理ネットワークに依存させない。物理ネットワークのアーキテクチャはユーザからは隠されてしまうのである。

 

2の目的は異なった物理ネットワークをつないで、ユーザから見るとあたかもひとつの大きなネットワークに見えるようにすることであった。相互接続されたネットワークの塊をインターネットワークあるいはインターネットと呼ぶ。

 

2つのネットワークを接続するには、パケットを片方のネットワークからもう一方のネットワークに転送(ルーティング)するもの(当初はコンピュータであった)が必要である。これをルータ(Router: 英語読みではラウター)と呼ぶ。これはまたIPルータと呼ぶこともある。何故ならこの装置はTCP/IPプロトコル・スイートのIP層で機能しているからである。なお「ルーティング」に相当する日本語は正確には「経路選択」であろう。「転送」はforwardingに対応する。転送はまたルータのひとつの機能である。

 


この図では1つのルータが2つのネットワークを結ぶだけであるが、同様にルータを介してどんどん多くのネットワークが接続され、そして現在のインターネットではどれだけのルータが存在するか検討がつかないほどに膨張してしまっているのである。

 

ルータの基本的な様相は、

·    ネットワークの観点から見れば、ルータは1つの通常のホストである

·    ユーザの側から見れば、ルータは見えない。ユーザからは1つの大きなインターネットワークが見える

 

ここでホストという言葉が出てきた。UNIXなどのワークステーションを扱っている方はお馴染だが、通常のパーソナル・コンピュータを使っている方には馴染みが無いと思われる。ホストとはネットワークに繋がっているコンピュータと思っていただければ良い。もう少し堅く表現すれば、ユーザがそれでネットワークにアクセスしているノードのことである。

 

インターネットワーク上のホストを識別する為に、各ホストにはアドレス、即ちIPアドレスが付与される。このアドレス付与はネットワーク管理者が行い、アドレスが重複したり1つのアドレスが複数のホストに付与されないようにする必要がある。1つのホストが複数のネットワーク・アダプタを持っている場合は、各アダプタにIPアドレスを付与する。IPアドレスはネットワーク番号とホスト番号の組み合わせである。すなわち:

IPアドレス = <ネットワーク番号><ホスト番号>

 

ネットワーク番号はセンターとなる管理者がインターネットのなかで重複しないよう割当てる。ホスト番号の付与は各ネットワークの管理者の責任となる。但し最近はホストの立上時に自動的にサーバからIPが付与される方式(DHCP)が採用させていることが多い。

 

 

 

 

前節     目次     次節