ネットワークの基礎講座
イーサネット
イーサネットの論理制御(LLC)
実はイーサネットとよく呼ばれるが、フレーム・フォーマットには二つの標準が存在する。ひとつは1978年にXerox、Intel、DEC社が作成した標準で通常イーサネット(Ethernet)あるいは3社の頭をとってDIXイーサネットと呼ばれるものである。これはイーサネット・パケットの構成のところで紹介したフォーマットであり、データの長さ(またはタイプ)のフィールドがタイプとして使われるものである。もうひとつの標準はIEEE802.3がその後に標準化したもので、データの長さ(またはタイプ)のフィールドはデータの長さとして使用し、その後に以下の拡張がされているものである。二つの標準はここのフィールドが1500以上か否かで処理をすれば良いので物理層は互換性を持たせることはできるが、データ・リンク層は互換性を持たせられないので注意が必要である。
IEEE 802.2は802.3物理層パケット・フォーマットにリンク・サービス・アクセス・ポイント(LSAP: Link Service Access Point)の概念をとりいれ、次のようなリンク制御の為のフィールドを追加している。これらのフィールドは、46~1500バイトのデータ部分に入るものである。
8ビット |
8ビット |
8または16ビット |
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宛先サービス・アクセス・ポイント(DSAP Address) |
送信元サービス・アクセス・ポイント(SSAP Address) |
制御(Control) |
情報 |
サービス・アクセス・ポイントは、両端でのデータ交換の相違を識別する為に使用される。DSAPとSSAPはDestination Service Access PointとSource Service Access Pointの略である。SSAPはLLCデータを送信し、DSAPはこれを受信する。ところがイーサネットの普及拡大に伴いこれでは不十分となり、802.2は更にSNAP(Sub-Network Access Protocol)という5バイトの拡張も採用した。これは上表のヘッダ部分のあとに更にプロトコルIDまたは組織コード用に3バイト、イーサネット・タイプに2バイトを追加するものである。拡張した書式を使っているか否かはDSAPとSSAPフィールドが共に170(16進でAA)が入っているかどうかで識別する。
これらの詳細は、別途PPPプロトコルのチュートリアルで説明することとしたい。
ただしSNAPヘッダの最後の2バイトのフィールドには次の値が設定されている。これらはIPの説明で重要な意味を持つ。
0 組織コードを示す
1 2048(0x0800) IPデータグラム
2 2054(0x0806) ARPデータグラム
3 32821(0x8035) RARPデータグラム