ネットワークの基礎講座
IP(インターネット・プロトコル)
インターネットの歴史
インターネットの原点は米国国防省の先端研究プロジェクト庁(DARPA: Defense
Advanced Research Projects Agency)の資金のもとに開発されたARPANETのプロトコル・スイートであることは良く知られている。このプロトコルは、今日一般的なコンセプトとして受け入れられている階層化や仮想化の概念をとり入れており、ISO(国際標準化機関)のOSIなどにも影響を与えた。ARPANETは1960年台の終わり頃から存在していた。しかしTCP/IPプロトコル・スイートがほぼ固まったのは1978年と言われている。従ってこのプロトコルはもう20年以上経過しており、新しいプロトコル(Ipv6でなくて)を望む声もあるが、あまりにも広く使われており、その可能性は少ない。
TCP/IPの最初の実装は、1980年にDARPAの研究用ネットワーク(ARPANET)を新しいプロトコルに切り替えたときであり、これは1983年に完了し、同時に外部の総てのコンピュータがこのプロトコルでARPANETに接続することを歓迎するとアナウンスした。またDARPAは3人の技術者に資金を提供してTCP/IPのVAX上のバークレーUNIXへの実装を行い、カリフォルニア大学にそのコードを無償で配布させた。TCP/IPが実装されたバークレー版は1983年の4.2BSDである。これを起点として、TCP/IPは研究機関や大学に急速に広がっていくことになる。DARPAとの契約が切れたため、1993年の4.4BSDがカリフォルニア大学バークレー校コンピュータ・システム研究グループからのBSDの最終版となっている。世界中のネットワークがこのプロトコル・スイートで接続されてゆき、現在のインターネット(英語ではTheを付けかつ最初のIを大文字にして”The Internet”と区別している)となっていることはご承知のとおりである。日本語ではそのような区別はしていないのでインターネットと太字で書くことを提案してはどうだろうか。
Internetという言葉はInterconnected
Networkをくっつけたものであり、その名のとおりTCP/IPで世界中のネットワークがつながったネットワークである。インターネットは以下のネットワーク群から構成されている。
· バックボーン: 主としてネットワーク間をつなぐ為の大規模ネットワークで、米国ではNSFNET、欧州ではEBONEなどがその例である。
· 地域ネットワーク:例えば大学や研究所など。
· 商用ネットワーク:現在はこれがインターネットの主体となっている。これには加入者からバックボーンへのアクセスを提供する所謂ISP(Internet Service Provider)のネットワークや企業のインターネット接続(インターネット上の利用者との接続や、インターネットを閉じたネットワークとして使う仮想プライベート網(VPN: Virtual Private Network))などがある。
· ローカル・ネットワーク:大学のキャンパス毎のネットワークや企業の事業所や部門のネットワークなどが相当する。
インターネットの歴史を知りたい人はhttp://www.isoc.org/internet-history/brief.htmlなどを参照するとよい。